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2020.05.15
環境とでんきの話

グリーン電力証書と非化石証書とJクレジット

以前のコラムにも書きましたが、CO2を排出していない「環境価値」の高い電気を取引する方法として、「グリーン電力証書」「非化石証書」「Jクレジット」があります。今回はこのことに触れたいと思います。

「グリーン電力証書」
 太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーで発電された電気の環境価値を証券化して、取引できるようにした制度です。その認定は一般財団法人日本品質保証機構が行ってます。発電事業者は太陽光や風力など「自家消費発電分」に含まれる環境価値を販売することで利益が得られ、それを設備の拡大や維持に使えます。購入する企業側は再生可能エネルギーの発電設備がなくとも再エネ使用量やCO2削減量として報告でき、企業側の広告アピールに活用できます。RE100などの制度にも適用されます。デメリットとしては相場のより取引額が変動することと、国が許可を下す制度ではないため、法的に保証されていない点です。またグリーン電力証書を販売した企業側はCO2削減など環境面での貢献のアピールができなくなります。

「Jクレジット」
 以前にも書いていますが、太陽光など再エネ発電や省エネ設備の導入で減らすことに成功したCO2排出量の減少を「Jクレジット」という形で国が認可し、企業間などで取引できるようにした制度です。Jクレジットは創出者側が販売するだけでなく創出者として環境面に取り組んでいることを企業アピールできること、購入者は温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みとして活用できます。しかしながらJクレジットの創出者になるためのハードルは高く、創出者のインセンティブが小さいことが課題としてあげられています。

「非化石証書」
 その電気が化石燃料を使用していない「非化石電源」であることを証明するもので、最も歴史は浅く2018年5月に創設された「非化石価値取引市場」で売買されています。開始時にはFIT電源を対象とした「FIT非化石証書」に限られていました。「FIT非化石証書」は、固定価格買取制度(FIT制度)を対象に非化石証書を発行し市場取引しているもので、2020年度より新たに非FIT非化石取証書の市場取引が開始されました。非FITにも2種類存在し、大型水力や卒FIT電源などの再エネ指定したものと、原子力を含んだ再エネ指定しない電源を対象にしたものになります。非化石証書を活用することでエネルギー高度化法で目標設定された非化石電源比率44%の達成に貢献できること、CO2の排出削減に貢献できるといメリットはありますが、もともとこの制度の目的のひとつが国民負担である再エネ賦課金の軽減であり発電側に収益が生まれないため、FIT制度終了後、この市場に対する発電事業者の参入が広がらない懸念もあります。