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2020.02.07
原子力のこと
原子力発電のこと(原子炉の仕組み)
前回のコラムで核分裂のことを中心に原子力発電の概要をお伝えしましたが、今回は少し具体的な説明になります。
ちなみに蒸気でタービンを回して発電するのは他の発電方法と同じですので、今回触れていません。
原子炉の構造は下記のイラストのようになります。
燃料は前回説明したように通常は5%程度の「ウラン235(中性子を出しやすいほう)」を含んだ濃縮したウラン原料です。
まずこの「ウラン235」に最初の1回のみ中性子をぶつけることから始まります。
これには起動用中性子源として人口元素のカリホルニウム(Cf)252を使います。カリホルニウムは自発核分裂しやすい不安定な性質であり、この特性を利用しています。
最初の中性子がウランなどを小さなペレット状にした燃料に衝突すると、燃料中の「ウラン235」などが核分裂を起こし、中性子が飛び出します。この中性子がまた他のウラン235に衝突し連鎖的に核分裂が発生します。この連鎖的に核分裂が発生している状況のことを「臨界」といいます。ニュースとかでよく臨界点に達したとかいうのはこの状態です。
核分裂の際に熱エネルギーを放出し、この熱エネルギーを利用して蒸気を発生させてタービンを回す仕組みです。
中性子が飛び出す速度は速すぎるため、他の原子核へ衝突させるために速度を落とす必要があります。この減速材の役割を原子炉内の純水が果たしています。
また制御棒は中性子を吸収しやすいカドミウム合金、炭化ホウ素などでできており、この制御棒を動かすことで中性子が燃料に衝突する量をコントロールできるようにし、核分裂の量をコントロールしています。この方法で発電量を制御しています。