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原油価格が暴落しています
世界が新型コロナでパンデミックに陥る中、原油価格が歴史的な暴落となっていいます。価格水準は2002年以来18年ぶりの低い水準です。今年の初めは60ドルをこえていたためその時点より3分の1まで下がったのです。
原因は2点あり、1つは新型コロナのパンデミック問題による世界経済の停滞で、もともと供給過剰ぎみだった原油が更に余ってきたためです。
もう1点がOPEC(石油輸出国機構)とロシアなど「OPECプラス」の協調減産体制が崩壊してしまったことです。3月初旬の「OPECプラス」会合でサウジアラビアなどOPEC側は、コロナ問題による原油の需要減に対応するためにロシア側に減産を提案しましたが、ロシア側がこれを拒否したことが原因です。
ロシア側が拒否した理由は、「OPECプラス」の減産による原油価格の維持が、結果的には敵対しているアメリカのシェールオイルの生産拡大を支えてしまう可能性が高いためでした。
実際このような背景を受けて、4月1日アメリカの大手シェールオイル会社であるホワイティング社がテキサス州の破産裁判所に倒産処理手続きを申請するに至っています。
関連して、4月20日のニュースではニューヨーク市場では原油先物取引が一時マイナス40ドルで取引されたという、なんとも奇妙なニュースが流れました。 「取引価格がマイナス?」と耳を疑った方も多かったのではないでしょうか。理由は端的に売れなかったからです。
先物取引市場では、近い将来で商品を受け渡す日をあらかじめ決めて、そこに投資家も参入し、各々が相場をみながら受け渡し日に向けて売り買いを繰り返します。
4月20日の当日は、5月に受け渡しする原油の最終決定日であったため、最終的に現物(原油そのもの)を引き取りたくないという動きの中で、最終的にお金を払ってでも引き取ってほしいというマイナス取引になったのです。
原油なんて腐るものじゃないし、お金を払ってまで売るなら高くなるまで待って売ればいいのでは思ってしまいますが、供給過剰な状況で貯蔵タンクも満杯で空きがなく、運搬用のタンカーも維持費用がかかる。処分しようにも簡単に燃やしたりできないのでこのような取引になったのです。
世界の石油需要が減少するのはリーマンショック後の2009年以来、11年ぶりのことです。需要の減少はコロナ感染拡大の大きい欧米と中国などアジア圏が中心で、とくに航空機などの交通用燃料の減少が著しくなっています。
石油を100%輸入に頼っている日本にとり、原油価格の低下は経済的にプラス面が大きいと思われがちですが、このような低価格は、産油国の経済を傷つけ、産油国の社会情勢の不安定化をまねくことにもつながり、世界の情勢にも大きく影響を与えます。なにごとにも適度なバランスが必要であるということですね。
またエネルギー事業の視点では、2030年のパリ協定基準に向けて、温室効果ガスを削減するために化石燃料からの脱却をすすめる上で、原油価格が暴落することが、未来への投資に向けた障害にならないかも懸念されます。
さて、ここまで少し固い内容になりましたが、原油価格が3分の1になったので、ガソリン価格も3分の1にならないのでしょうか?と思いますよね。
しかしながら現実は厳しい。たしかに直近の4月末までレギュラーガソリンの価格は13週連続で値下がりしました。(石油情報センターの調査。経産省発表)
しかしガソリン価格の構造上、原料価格が占める割合は低いのが実態です。
たとえば原油価格が下がる前のガソリン価格が140円/ℓとした場合、70円が税金です。原料価格は20数円程度になります。つまり原油価格が暴落してもガソリン代が20円数円以上安くなることはありません。例として15円下がったと考えると、月に2回満タンにして80ℓつかうとしても1,200円程度です。
自粛生活が継続される中でガソリン価格が多少値上がりしても、自由にどこかに遠出したいと思うのは私だけでしょうか?