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2020.05.20
これからのこと

水素エネルギーって??

日本政府の2020年の水素エネルギー関連予算は700億円。以前エコカーで紹介したが燃料電池の購入補助や水素ステーションの整備補助、その他将来に向けての研究開発に対する予算に該当するものです。
水素エネルギーの活用は新型コロナ問題で延期になりましたが2020年東京オリンピック、パラリンピックの聖火台の燃料としして大会史上初めて使用されることになっていました。
 今年3月に福島県浪江町に世界最大級の水素製造拠点が開所。太陽光発電の電力で水を電気分解し、水素を製造。この水素を東京都内に輸送して、オリンピック、パラリンピックの燃料電池車やバスに使用する計画だったようです。
海外に目を向けると欧州では、水素イニシアチブに賛同したEU加盟国により貯蔵から利用まで総合的な取り組みに着手しています。中国でもトラックやバスを含む燃料電池車の導入目標を提示していますし、米国ではカリフォルニア州を中心に運輸面の水素活用がすすんでいて、ちなみに燃料電池式のフォークリフトは2万台を越える普及台数となっているようです。

 水素エネルギーはまだまだ製造コストが高く、日本政府のロードマップでは2030年に30円/N㎥(エヌリューベ:1気圧におけるガスの容量)、事業ベースに乗せるために将来的には20円/N㎥にしたいとしていますが、現状では80~170円/N㎥と4倍以上の開きがあります。
この要因は、日本の再エネ発電のコストが高いこと、水電解装置の設備費用が高いこと、水素供給のインフラが整備されていないため輸送にコストがかかることも関係しています。
 水素エネルギーの活用は単に化石燃料からの脱却だけではなく、既存の再エネ電源をより有効活用するためにも期待されています。再エネ電源には太陽光、風力、バイオマス、水力、地熱などの種類がありますが、1カ所あたりの発電量の大きさが期待できるのは大規模な太陽光発電と風力発電になります。これらの発電方法は水力や地熱のように大規模な開発コスト(設備規模、地のりともに制約が多い)がかからず、バイオマスのように燃料調達が不要であることがその理由です。
しかしながら、太陽光は夜間や日照条件が悪いと発電できませんし、風力も風が吹いている状況に左右れます。この2つの電源を安定して有効に活用するためには余剰電力を貯めておくしかなく、貯める手段として水素エネルギーとしての活用に期待が寄せられています。
 水素エネルギーでの貯蔵は、長期間貯蔵と長距離輸送という点で、リチウムイオンなどの蓄電池を利用するより優位性があります。リチウムイオン電池で蓄電しても放電により長期間の保存は不可能ですが、水素という形態に形を変え冷却して液化することで長期間の保存が可能になり、長距離輸送も可能になります。
以前のコラムで紹介した「カーボンリサイクル」でメタノールやメタンなどを生成するのにも水素は必要であり、その側面でも有効だと考えられます。
 また、これまでの石炭火力発電より熱効率の高い発電方式(従来より少ない石炭量で同レベルの発電ができる)である石炭ガス化複合発電(IGCC)では生成されたガスからCO2を分離する際に、大量の水素が発生します。IGCCの発電コストは従来型より高いため、この水素をうまく活用することも課題となり、この余剰水素をうまく活用することで、より効率的なエネルギーサイクルが生まれます。

水素エネルギーは前述しましたが化石燃料からの脱却、電力の安定供給の面でも、長期貯蔵できる二次エネルギーとして期待できるものです。まだまだ技術面や経済性を含め発展途上ですが、将来に向けて期待していきたいですね。